13年前に描きかけた絵を今ごろになって仕上げてみた。

近々パソコンを新調しようかと考えている。
昨年末にモデルチェンジしたiMacが中身も外見も良さゲなので、これまでのノートパソコン・ライフに終わりを告げて、据え置き機に腰を落ち着けようかと思ってるわけ。
ここ数年は仕事の忙しさにカマけてプライベートでのクリエイティヴ活動をオゴソカにしていたので、画面が大きくてパワーのあるマシンでもって “バリバリ作品を作っちゃうぜ” という意気込みなのだ。

…意気込みだけ。とりあえず。

そこで、かつてメインマシンとして使っていた一番古いパソコンからの引き継ぎ作業として、過去の制作物データの移送準備に取りかかったんだけど、懐かしのデータが色々と出てきた。
ボクがクリエイターとして一番ダメなところは、作品をキチンと最後まで仕上げられないところで、古いハードディスクには作りかけて放置された可哀想なデータがいっぱい入っている。
今年は生活面でも一区切りつけるコトだし、これを機にいくつかの未完成品を仕上げて、クリエイターのハシクレとしてケジメを付けようじゃないかと思い立ったわけです。近藤真彦バリに。

デザイン業界に入る前の学生の頃から今日に至るまで、Adobe社の「イラストレーター(以下:イラレ)」というソフトを使ってきたけど、使いたての頃はこのソフトが持つポテンシャルに惹かれて、仕事以外でも絵を描いたりアニメーションを作ったりと研究熱心だった。そんな幾つかある “研究中” ファイルの中から、今回は特に思い入れのあるデータをピックアップした。

ベルセルク』にハマり出した頃の作品でしょう。
恥ずかしげもなく背景に「蝕」と入れてしまうあたり、当時の陶酔具合が伺い知れます。

これを描いてた当時は“イラレ”のバージョンも確か5.5ぐらいだったと思う。
今時の若い子は知らねぇだろうな〜5.5とか。
ブレンドツールという色をなじませる機能を使って、どこまで立体的な表現が可能かという研究に熱を入れていた頃の作品ですな。今になって見ると造形もディティールもアレな感じですが、当時はこれでもだいぶやりきった感を得ていた様な記憶がある。ローテクを駆使してハイクオリティな作品を作ってこそ一流のクリエイターだぜぇって燃えていた若かりし頃。
ってほんの10年前だけど。

それで、ベヘリットが描けたんで、もう少しステップアップしようと、追加ミッションとしてこの上に妖精のパックちゃんを乗せてやろうと考えたわけ。
それで調子に乗って描き始めたんだけど、もう面倒くさくなったのか仕事が忙しくなったのか(たぶん前者)このミッションは以後放置されることになってしまった。

今回発見したファイルは最終更新日がなんと2,000年の4月で、こんな状態だった。グレーのワイヤーフレームみたいになってるのは、ブレンド表示がとてつもなく重いため、仕上がりを想像しながら作るしかなかったのよね〜。ローテク時代は、よりイマジネーションが必要だった。

面倒くさそうな頭から作り始めたのはいいけど、胴体からつま先に至ったあたりで力尽きたようだ。

今回久しぶりに“イラレ”バージョン8.0を使って当時と同じ技法で続きを作ったんだけど、
やっぱ面倒くさいわブレンドツール。
危うく今回もサジを投げそうになりましたが、なんとかガンバって描きました。


鬼門の胴体を完成させたところ。つま先とかディティール甘いけど、こだわってたらまた挫折しそうだったからスルーした。この辺が大人になったところかな〜。何がだ。

羽根は単行本の背表紙とかを参考にしながら、独自の解釈で虫っぽい感じになるように描いてみた。コレじゃない感もちょっとあるけど、まぁだいたいイメージ通りですよ。こんなもんですよ。ファンタジーですから。

いや、もっと楽しく描けるかと思ってたけど、とんでもなく面倒くさかったよ羽根!二度とごめんだよ羽根!


そんなこんなで堂々完成した作品がコチラ。

フッフッフ…。とても “イラレ8.0” で描いた絵とは思えないだろう?
……。
…って13年前に自慢したかった。
それだけ。

ちなみに…何かパックっぽくないのは、そういう解釈で描いたからです。
ファンタジーだからです。
最初に描いた目がちょっとキツかったんで、最後の最後でまるっこく整形したら、やたらカワイクなっちった。それで余計に似なくなっちった。てへっ。
いいの、いいの!可愛いいパックたんにしたかったんだい。


いやぁ、なんてコトはない。完成までは残り5・6時間を要するだけでした。
これしきのモチベーションを取り戻すのに10年以上かかるなんて…。

でもやりかけの仕事を終えた達成感もあるし、きちんとした1枚の絵を完成させるってのが、なんか久しぶりの感じで楽しかったな〜。なんて。

そして、あの時会えなかったパックたんに10年越しに出会う事ができたという感動…。
やばい、なんか気持ち悪いテンションになってきた。もう寝よう。